シスプレックス全体でのヒストリー・ファイルの共用

シスプレックス内ですべての MVS イメージにまたがって PDSE ヒストリー・ファイルを効率良く共用するために、Fault Analyzer では IDIS サブシステムからの XCF メッセージングが使用されるようになりました。

この方式を SYS1.PARMLIB の IGDSMSxx メンバー内の PDSESHARING(EXTENDED) オプションと組み合わせることにより、シスプレックス内のすべての MVS イメージから、競合なしに個々の障害項目を並行して読み書きすることができます。

シスプレックス全体で PDS ヒストリー・ファイルを共用すると、複数の MVS イメージから同時に同じヒストリー・ファイルに対するアクティビティーが活発になった場合、アクセス方式がどの更新についてもデータ・セット全体のエンキューを必要とするため、好ましくない競合が発生する可能性があります。この問題は PDSE データ・セットには適用されません。PDSE データ・セットは、メンバー・レベルでのシリアライゼーションのみを必要とするので、こちらが賢明な選択といえます。

以前にセットアップされた環境の中には、シスプレックス内のすべての MVS イメージ間でマスター・カタログ (またはユーザー・カタログ) を共用しないという通常とは異なる条件でセットアップされたものがあり、そのような環境では、それぞれの MVS イメージは、異なる DASD ボリュームに対してカタログされている同じデータ・セット名を使用することが許されます。このセットアップは Fault Analyzer ヒストリー・ファイルでは使用しないでください。共通データ・セット名は、IDIS サブシステムおよび各 MVS イメージ間の ENQ メカニズムを通じて、不要な競合を起こしてしまいます。各 MVS イメージ間で異なるヒストリー・ファイルが必要であれば、最良の代替案として、ヒストリー・ファイル・データ・セット名の中で &SYSCLONE. 置換変数を使用することを検討してください。固有名を付けることで共通名の ENQ 競合がなくなり、より論理的で実際的な管理が可能になるからです。

共用ヒストリー・ファイルに代わる方法は、Fault Analyzer ISPF インターフェースの「View」機能を使用することです。そこでは、同時に複数のヒストリー・ファイルを表示できます。この機能の詳細については、ビューのセットアップを参照してください。

ヒストリー・ファイルを複数の MVS イメージで共用する場合、以下の点に注意してください:
  • PDSE を共用するシステムは、同じシスプレックスのメンバーでなければならない。また、SYS1.PARMLIB の IGDSMSxx メンバーで PDSESHARING(EXTENDED) が指定された状態ですべてのシステムが稼働していることが推奨される。(IPL を実行する最初のシスプレックス・メンバーが、使用される共用モードを判別し、そのシスプレックスに加わる後続のすべてのメンバーは、EXTENDED か NORMAL にかかわらず、そのモードでの動作が強制されることに注意してください。)
  • XCF はアクティブでなければならない。
  • GRS (または機能的に同等なサブシステム) が稼働中である必要があります。PDSE 逐次化は、リソースの大分類名 SYSZIGW0 および SYSZIGW1 を使用して管理されます。GRS 以外の逐次化製品が使用される場合を除いて、GRS RNL リストに変更を加える必要はありません。

上記の考慮事項にかかわらず、シスプレックス全体で共用される PDSE データ・セットに対して、OPEN エラーが発生する可能性があります。この状態は、システム間共用の競合の結果発生し、通常、メッセージ IEC143I RC 213-70 が発行されます。

シスプレックスにおける PDSE データ・セットの共用の詳細については、Redbooks® 資料である Partitioned Data Set Extended Usage Guide (www.redbooks.ibm.com からダウンロード可能) の PDSE Sharing and serialization の章、および第 28 章 Processing a PDSESharing PDSEs セクション (DFSMS: Using Data Sets マニュアル) を参照してください。

システム間共用の競合を減らすためにヒストリー・ファイル・アクセス管理が用意されているため、インストール・システムで PDSESHARING(NORMAL) を使用する必要がある場合は、IDIS サブシステムも必要となります。ただし、Fault Analyzer の外部からヒストリー・ファイルにアクセスする場合は、 メッセージ IEC143I RC 213-70 が引き続き表示される可能性があります。

シスプレックスで共用される障害ヒストリー・ファイルを使用する際、特別な Fault Analyzer オプションは必要ありません。

ヒント: IDIS サブシステムの PARM='UPDINDEX' オプションを設定するかどうかは、シスプレックス内のすべての IDIS サブシステムで統一します。このオプションの詳細については、ヒストリー・ファイル $$INDEX データのキャッシュを参照してください。