リカバリー障害記録

Fault Analyzer のリカバリー障害記録機能は、リアルタイム分析時の異常終了の問題によって通常の障害項目の作成が妨げられる条件を減らすために用意されています。この方法は、例えば以下の状況で行われます。
  • ストレージ不足。(IDI0005S を参照。)
  • Fault Analyzer が異常終了。(IDI0047S を参照。)
  • Fault Analyzer がタイムアウト。(IDI0092S を参照。)
  • 無効な負のストレージ長の要求。(IDI0105S を参照。)

終了条件がリカバリー障害記録処理に従う場合、スケルトン障害項目が作成され、関連 SDUMP (SVC ダンプ) または IEATDUMP (トランザクション・ダンプ) が書き込まれます。

まず、パフォーマンス上の理由により SDUMP がダンプ・タイプとして優先されるため、リカバリー障害記録ダンプ・タイプとして SDUMP を使用するためのセキュリティー・アクセスが付与されているかどうかの検査が行われます。(詳しくは、SDUMP RFR データ・セットに対する XFACILIT リソース・クラスの使用を参照してください。)

注: SDUMP の使用時にリカバリー障害記録機能をサポートするには、MVS ポスト・ダンプ出口 IDIXTSEL が必要です。この出口の詳細については、SVC ダンプ登録を参照してください。

SDUMP を使用できない場合は、リカバリー障害記録ダンプ・タイプとして代わりに IEATDUMP が使用されます。

使用されているダンプ・タイプにかかわらず、RFR ダンプという用語は、リカバリー障害記録ダンプ・データ・セットを指します。

RFR ダンプにより追加データ・セットが作成され、このデータ・セットに MVS がアドレス・スペースのダンプを書き込みます。このデータ・セットはミニダンプよりもかなり多くの DASD スペースを使用しますが、この状態では、Fault Analyzer はミニダンプを収集できません。したがって、スケルトン障害項目の再分析にはミニダンプの代わりに RFR ダンプ・データ・セットが使用されます。

注: リカバリー障害記録処理を有効にするには、IDIS サブシステムが始動済みであり、UPDINDEX パラメーターが有効になっている (これがデフォルトです) 必要があります。

障害項目が作成されるヒストリー・ファイルは、異常分析終了時に判別された異常終了ジョブの現行ヒストリー・ファイル、または IDIS サブシステムのデフォルトのヒストリー・ファイルです。異常終了ジョブに判別された現行ヒストリー・ファイルが PDSE の場合は、これが最初に使用されます。それ以外の場合は、IDIS サブシステムのデフォルトのヒストリー・ファイルが使用されます。

メッセージ IDI0126I が発行されて、障害項目が作成された先のヒストリー・ファイルを示します。

RFR ダンプが IEATDUMP の場合、異常終了領域から作成されます。ただし、SDUMP の場合、IDIS サブシステムにより作成されます。スケルトン障害項目は、常に IDIS サブシステムにより作成されます。

リカバリー障害記録プロセスが開始されると、IDIS サブシステムで使用可能なオプションで指定された通知ユーザー出口を除き、このプロセスに対してユーザー出口は起動されません。ユーザー出口は、スケルトン・リカバリー障害記録障害項目の作成時に起動されます。リカバリー障害記録イベントと通知ユーザー出口の他の呼び出しを区別するために、NFY.NFYTYPE フィールドが「R」に設定されます。通知ユーザー出口の詳細については、通知ユーザー出口を参照してください。

RFR ダンプが IEATDUMP の場合、デフォルトのデータ・セット名パターンが使用されます。IDIRFRHQ.IDIRFR.&SYSNAME..D&YYMMDD..T&HHMMSS..S&SEQ.

この名前を変更する (または IEATDUMP RFR ダンプを無効にする) には、「デフォルト・リカバリー障害記録 IEATDUMP データ・セット名 (RFRDSN) の変更」を参照してください。関連付けされた障害項目が削除されるときに IEATDUMP データ・セットの自動削除を許可するには、ご使用のシステム固有のセキュリティー規則に従って、デフォルトの高位修飾子の変更が必要な場合があります。詳しくは、「リカバリー障害記録データ・セット・アクセスの管理」を参照してください。

リアルタイム分析処理で問題が発生した場所に応じて、リカバリー障害記録障害項目の再分析で再分析レポートを作成できます。これは、リアルタイム分析が正常終了した場合に作成されるレポートと実質的には同じです。通常のリアルタイム障害項目の代わりにリカバリー障害記録障害項目が作成されたという事実は、多くのリカバリー状態では、ユーザーにほとんど認識されません。

リカバリー障害記録障害項目が削除されると、関連 RFR ダンプ・データ・セットも自動的に削除されて、このデータ・セットが不必要にディスク・スペースを使用しないようにします。RFR ダンプ・データ・セットの削除に失敗すると、メッセージ IDI0187I が発行されます。